『ダイブ』

ブルーホール

2009.05.07
本当は行くのを止めようと思っていたベリーズ。
メキシコの豚インフルエンザ騒動で、とりあえず様子見ということで半ば仕方なく入国したベリーズ。
そしたら意外や意外、なかなかいいところ。 周りの中米諸国と比べると黒人率が高かったり、英語圏だったりと少し雰囲気が違うのも新鮮だったのかも知れない。
ベリーズ・シティから船で40分程行った島、キー・カーカーで一週間滞在した。 小さな島なので治安も良く、島民もフレンドリー。水道水が海水混じりだということを除けば居心地良い。
ここキー・カーカーの近くには世界で二番目に大きなバリアリーフがある。もちろん世界遺産。 そして深さ125メートル、直径300メートルの海の中にぽっかり開いた穴、世界で最も大きなブルーホールもある。
ホンジュラスのウティラ島で取ったダイビングライセンス、せっかくベリーズに来たので潜ってみることにした。 ただ、僕の取得したライセンスでは最大深度18メートルまでしか潜れないのだ。 けれどブルーホールは40メートル近くまで潜る。 一応ツアー会社に確認すると、問題ないと言うのでダイビングツアーに参加した。 こういう適当加減が良くも悪くも海外。日本なら絶対潜らせてくれないはず。
その夕方、パナマで会ったドレッドヘアーの日本人と偶然再会し、これまた偶然彼も同じツアーに翌日参加することを知る。 余り英語が得意じゃないので、日本人と感動を分かち合えるのはうれしい。
 
さて、当日朝6時半に船に乗りこむ。参加者は総勢14名。 船上で軽く朝食が振る舞われ、一本目からハイライトのブルーホールへ向かう。 結構な荒波の上を二時間もボートに揺られる。 インストラクターは、全然簡単なダイブだ、リラックスして付いてこいと言う。 ジャパニーズ・ラスタマンとバディを組んで、不安と期待で水中へ潜行。
最初こそなだらかに下る海底も、少し行くとまさに水中の断崖!
全く見えない底。
慎重に潜っていき、あっという間に40メートル近く。 18メートルまでしか潜っちゃいけないはずのライセンスレベルなんて全く関係なし。
40メートルではさすがに息苦しく、空気の消費も激しくなる。海面からの光も少なく、薄暗い。 もちろん底なんて見えない。このまま落ちていったら間違いなく死ぬだろう。
そんな切り立った壁に横穴があるのだ。岩の柱に支えられたその横穴の岩の間に巨大なロブスターが鎮座する。 魚はあまりいなかったがこの光景は感動もの。
この先の人生、この深さまで潜ることは無いと思う。貴重な体験が出来た。
貴重な体験といえば、僕のバディのラスタマン。 気づいたらインストラクターのオクトパス(補助レギュレーター)をくわえていた。 空気が無くなったらしいのだ。下手したら死ぬ。 どこかから空気が漏れていて、あっという間に残量が減ってしまったらしい。どうりで頻繁に僕の空気残量を聞いていたわけだ。 本当はバディの僕がオクトパスを渡すべきなんだけれど、まったく気づかなかった。危うく見殺しにするところだった。
その後は世界遺産でもあるバリアリーフで一本潜り、昼食を小さな島で摂って午後もう一本。 一日三本潜って、ウミガメ、斑点のあるエイ、魚の大群、多種多様な熱帯魚たちを見ることが出来た。
キー・カーカーに来て大正解だ。
翌日はヨメも含め三人でスノーケルツアーに参加し、マナティや気持ち悪いほどのエイの大群を見た。
さらにメキシコの状況を窺いつつ、島のビーチでスノーケルしながら手に糸を持ち、魚がエサをつついているのを見ながら釣るという大胆な釣りに いい大人が(三人とも三十代)二日間も熱中する。おかげで真っ黒。 もっと簡単に釣れるかと思ったけれど、針が大きすぎたらしく釣果はイマイチ。 それでも釣った魚はラスタマンに捌いてもらって刺身で喰う。
そんな贅沢なベリーズ、キー・カーカーの一週間だった。

inserted by FC2 system