『シベリア鉄道のこと』 『自然は偉大である』

笑わない人々

2008.09.17
モスクワから田舎町ペトロザヴォーツク、そして古都サンクト・ペテルブルクと滞在。いやはや寒い。
ロシアに入ってからというもの、晴れた日はたった二日。あとは雨か曇りの毎日。ロシアっぽいと言えばロシアっぽいが。
 
田舎町ペトロザヴォーツクまでわざわざ来たのは、世界遺産である木造教会を訪れるため。 オネガ湖に浮かぶキジー島にあるその教会は釘一本使われていないのだ。老朽化が進んでいるらしいが、誰一人と補修方法が思いつかないという奇跡の建造物。 のどかでちっぽけな島で風も強くとても寒かったけれど来た甲斐はあった。
 
その後はソ連時代レニングラードと呼ばれていた古都サンクト・ペテルブルクへ。
世界に名だたるエルミタージュ美術館。元は「冬宮」という宮殿でありその部屋数は1,500室。そのうち400室が展示室となっている。 あまりの広さに一階から順に見ていくと間違いなく途中で嫌になるだろうと思って、三階にあるゴッホ、モネ、ゴーギャン、ピカソ、セザンヌなど、 とりあえず僕でも聞いたことがある有名画家の展示を何はともあれ先に見た。
あとは結構適当に見て、三時間くらいかかっただろうか。美術の知識に疎い僕らは展示の多くを占める宗教画はどれも同じに見えてくる。ほとんど横を通り過ぎるだけだった。 丁寧に見ていったら一日では足りないかもしれない。  
僕のロシアのイメージは寒い、堅い、怖いだった。
けれど、来てみてイメージは多少変わった。
寒いというイメージはもちろんイメージ通りだが、見た限りでは街行く女の子はみんなオシャレだし、街全体に堅いイメージは余りない。 以前は歩いていると警察からワイロを求められたり、面倒なことが結構あったらしいが今はそれほどじゃないように見える。 一度だけイルクーツクで列車待ちをしているとき、警官にパスポートとインビテーションの提示を求められたくらい。
昔で言う「西側」化されて来てはいるけれど、まだ共産圏っぽさも残ってはいる。
とくにモスクワで多かったように思うが、商品を手にとって買えるスーパーマーケットが少ない。 店員にほしいものを告げないと買うことが出来ないのだ。言葉がわからない僕らはあれとこれとと指さすしかない。不便である。
ビザの取得の面倒さや、滞在先での外国人登録(要は外国人の所在管理)なども、そうだろう。
確かにあまりニコニコしている人はいないし、道行く人がハリウッド映画によく出てくる悪役の旧ソ連軍人のテロリストに見える、ときもある。 それでも一昔前に比べれば断然旅行しやすくなってきてはいるはず。ロシア、悪くない。
極寒のロシアも一度経験してみたいものだ。
 
けれど、そろそろ太陽が恋しい。

inserted by FC2 system